SARIさんの月

SARIさんの月

1997.6月 SARIさんの月

SARIさんは今回が初参加ですが、月の写真を撮ってきてくれました。始めは 、丸いから月なのかなあ、と安易に考えてしまいがちでしたが、よく話を聞くと 今のトランジットの影響がSARIさんの月にかなり影響を与えていて、その様子が よく写真に現れている、ということが分かりました。SARIさん自身も思いあたる ことがあったようで…

まず目につくのは、画面中央の大きなドームです。ガラスのような素材で出 来ているのか、光が反射していますが、中は見えないようになっています。また 、SARI さんによると、この中には関係者以外入れなくて、SARIさん自身も入っ たことがないため、中の様子が謎の建物だそうです。左の建物がSARIさんの勤め 先の会社の建物のようです。ほとんどの人が中に入れない建物としては、このド ームはあまりにも目につくというか存在感があって、その話を聞くと余計に「中 の様子が隠されている」ことが気になってしまいます。

さて、それは実際の逸話なのですが、写真を見ただけでもかなりどっしりと して存在感のあるドームです。画面に写っているものとしては割りとシンプルで 、このドームと左側の建物、右前の1本の木、ドームを取り囲んで植えてある植 物(花壇?赤い花も見えます)、右上に広がる空、それに地面が木の下以外全て コンクリートになっていることくらいでしょうか?ある意味で、焦点はまさにこ のドームに絞られている、というのが良く分かる写真です。

SARIさん自身、また他の参加者の印象とも、「SARIさん本人はこの大きく厳 重に守られているドームの中にいる」といったものでした。月の写真であること から、感情的に引きこもっている、それも外の世界と完全に遮断されることが今 は必要な時期、あるいは自分で必要としている時期なのでは?ということです。

ただ、外にある樹木が、灰色のコンクリートの閉鎖的な印象の中で、唯一生 命力を感じさせるものと、これから成長しようという意欲を感じさせはします。 しかし今のところ、SARIさんはまだドームの中にいる、SARIさん自身も自分はこ のドームの中にいる、と解釈されていたのが印象的です。

これを撮った時期にSARIさんが見た夢の話をまじえ、SARIさんからコメント をいただきました。


「SARI、です。私は月の写真を用意して行ったんですが、いかにも、と自分が 思っていたのに、人には??と思えるものなんですね。 銀色のパチンコ玉みたい なのは、月っぽいと思ったんですが、全て反射してしまう=拒絶というのは、言 われて初めて気付きました。 吐く夢を見た時辺りに、月の写真はないかと思っ て撮影したもので、きっとあの辺の夢との関連があると思います。」


Hestia「あの写真は、ちょっと私には、恐竜の卵みたいにも見えたんですよ。 で、非常に大きな生命力が生まれんとしている、で、球の模様はその卵に入った ”ひび”のようにも… だから、今はまだ皆さんの言われていたように、球の中 に本人はいて、でも、その球が割れたら、中にあるのはでかいぞー、みたいな。 で、周りの建物に比べて不釣り合いな程、大きいですよね。この風景に溶け込ま ない異様さ、っていうのが、どこかチープというか、深刻でなく、突き抜けた明 るさというか、良い意味で滑稽ささえある。 だから、球の中にいても、それは 長期的というか、本質的にはあまり細々とした裁量な感じがしないです。 でも 、もしかしたら、こんな私の感じ方自体が、私自身のチャートの性質に引っ張ら れているのかもしれないですけど。どうも、深刻にとらえるのが苦手なのかもし れません。面白い方へ、面白い方へ、と持っていくのかも…」


SARIさんの見た夢の話とはこうです。

SARI「お食事中の方には、すみませんが、うとうとしてて、食べ物を吐く夢 を見てびっくりして起きました。 本当に吐いてしまったのか、としばらく思っ ていましたがどうやら違っていて、でも口の中の気持ち悪さはリアルでずっと残 っていて、それからまた眠ったのですが、すると夢の中で、また同じように吐く んです。 それでまた、飛び起きたんですけれども、何か、こういう夢に意味が あるのでしょうか。ただ、今、割と精神的に参っているせいなんでしょうか。 私には、他人の悪意というのが、まず浮かんだのですけれど、考え過ぎか・・・(^^;) 誕生日前はいつも、毎年このように調子が悪いです。(–;)」

Hestia「ものを食べるというのは、何かを獲得することではないかと。咀嚼 することと、知識を反芻することが例えとなるように。 “吐く”というのは、 とすると、なにか未知のものをとりこもうとして、それに拒絶反応を示して、や っぱりとりこまない、と。あるいは異常なものが入って来るのを感じて防衛する 、とか。」

SARI「何かを取り込むのを拒否しているらしい。なんでしょうね?? 思い浮 かびませんが・・・(^^;)」

Hestia「口の中が気持ち悪い、という、夢ではめずらしい“触感”が印象的 のようなので、 かなり感覚的に敏感になっている時のように感じます。“口” というのは、それだと何になるのでしょう? “食べる”ことは性的な意味もあ るようです。」

SARI「感覚的と言えば、体調が悪いのはともかく、ちょっとまた怖い夢を見 たのです。自分で感じているのは、先月終わり位から、どうも月の支配下に置か れているのでは、という感じです。私の月は2ハウスですから、そう考えると「 口」はなんとなく、ここに当てはまりますね。 何でも、後戻りしたがっている 。それと、過去にこだわっていて、最近は非常に感情的で、昼間、公園でぼーっ としていて泣いてしまったり。人前で泣くなど、滅多にないんですけどねー。そ れと、よく眠ります。(軽いうつ状態なんでしょう)」

と、いうようなものです。



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(アスペクト線はHestiaが任意に加えたものです)

さて、それではSARIさんがこの夢を見た時(写真を撮った頃)は、どのよう な状況だったのでしょうか?
SARIさんが夢を見たと思われる5月19日の深夜のトランジットでは、海王星 が山羊座の29.88で逆行しています。これはSARIさんのネイタルのICとわずか0.37 度のオーブでコンジャンクションしています。
さらに、上のネイタルチャートではしめされていませんが、プログレス海王 星が射手座の17.44にあり、ネイタルの月に対して2度以内のオーブでコンジャン クションしています。プログレスでは普通1度以内しかみませんが、ICにトラン ジットの海王星があるため、その影響も出やすくなっているのではないかと思い ます。
また、ICは月の本来の位置であり、そこにトランジットの海王星がくること は、ネイタルの月へのプログレスの海王星のコンジャンクションと同じ影響だと 考えられます。

ICということでは、無意識の領域、夢をみる場所でもあります。その夢にお いて2ハウスにある月、つまり身体、特に“食べること”と結びついた夢、とい うのは大変興味深い。

同時にこの時、トランジットの冥王星は射手座の4.41度で逆行しており、SARI さんのネイタルの太陽と1.58度のオーブでオポジションの位置にあります。

8ハウスの太陽に対する2ハウスの冥王星は、もともと他者や外界に深く関 わることで内的に変容しようとする自我に対して、本人の身体的な感覚の部分、 あるいはもともと持っている資質に強く固執する、掘り起こすような作業を課す のではないでしょうか。冥王星なのでそれは大変ゆっくりとした影響ですが、確 かにこの時はかなり近いオーブで接近しています。

それは太陽へのアスペクトではありますが、冥王星という重大な天体の場合 、サインイングレスも影響も無視できないでしょう。同じ射手座に位置する月へ のトランジットの冥王星への影響が、太陽へオーブの狭いアスペクトを介して現 れたとも言えなくはないようです。

そうなると、SARIさんの月への影響というのは、ひと月やふた月単位で考え るよりも、もっと長い期間の影響のいったんとしてとららえた方が良いのかもし れません。

ただ、その引き金としては、例えばトランジットの火星が乙女座の19.20度 で、SARIさんの月にスクエア、プログレスの火星が双子座の16.14度で月に対し て0.65度でオポジションになっていることがあげられそうです。

長期的な面で2-8ハウス軸とICがトランスサタニアンに刺激されているこ と(しかし、トランジットの海王星とプログレスの火星はかなり正確)。それが 、トランジットとプログレス両方の火星によって、ネイタルの月がハードアスペ クト(Tスクエア)を受けた時期、というのが、SARIさんが上のような夢を見て 、また月の写真を撮った時期でもあります。夢については、他にもいろいろと霊 感を感じさせる“恐ろしい”夢を見たとSARIさんは言います。

そんな時期にあって、コンクリートに地面を覆われ、本人はその中にいると 解釈する巨大なドームの写真というのは、日常的な意識では手にあまるほどの影 響に対して、本人が引きこもっている状態、と見えます。特に右側には青い空が 開けているのに、左側には重々しい感じの無機質な建物がある、というのは、対 人的な面というよりは本人のより私的な面において防衛反応が起っている、とい うことです。
画面の右側は他者や外界からエネルギーを取り入れる、外に開けた場所であ るのに対して、左側は外からの影響を一旦排除して自己の内側に集中する、そし て自我を作り上げる場所だからです。

しかし、そんな中でも右側にはコンクリートに覆われた地面にわずかに残さ れた土から、豊かに伸びた1本の木があります。この木が何か救いのように、あ るいは外界に対しては決して閉じられているだけではない、という印象も与えま す。ドームは今は閉じているけど、このドームが割れたら、とてもすごそうだ、 というのはメンバーの印象です。大きいだけに、それが割れたときの爽快感もす ごい、というわけです。それはそのままトランスサタニアンの影響に置き換えら れそうです。

そう考えると、SARIさんはしばらく写真を撮り続けるとおもしろいのではな いかな、と思えてきます。天底にあるトランジットの海王星(4ハウスにある天 王星も)はどちらにしても、より深い意識をヴィジョンとして見てしまう可能性 はありそうだからです。

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