カルマのお話

Millennium Column 2000 February

カルマのお話

■Past life karma なつかしい私の過去…

Karma(カルマ)とは、直訳すれば「業(ごう)」。仏教の輪廻転生では、過去の生において成した因果応報に基づいて人は生まれ変わります。またひとつの生のうちでも、行なったことは返ってくる、因果応報を Karma といいます。 原因があるのです。そしてそれは元を正せば自分自身の行いです。そして、その原因を忘れてしまいます。Karma が現れたとき、その原因に気付くでしょうか?それが過去の生に基づいていた場合、多くは思い出せません。  しかし思い出せなくても、その原因の「鍵」は、常に今現在の私たちの中に存在します。過去の生の記憶が、今生の生の中に刻まれているのです。このどうしようもなく途絶えることのない、生の鎖…。

鎖は足枷ですか?それとも、なつかしい糸紡ぎですか?
郷愁を感じますか?色褪せたものですか?
生の哀しみは…

誰も、Karma から逃れて存在する者はいないでしょう。しかし、その Karma の色合いは人様々です。それは善悪ではなく、ただ本人が過去に遣り残したこと、今生に持ち越したこと、過去においてこだわりを持ったこと、「記憶」がそこにあるのです。
占星術のチャートから読める過去生は、「何処でいつ、どんな生活を送っていたか」というような具体的な事柄を示すものではありません。しかし、「魂」が築いた生活が、刻まれているでしょう。ネイタル・チャートの第12ハウスの本当の意味は、このように「過去にやり残し、今生に引き継いだもの」です。アセンダントが「誕生の場」であることを考えれば、それは容易に分かるでしょう。生の鎖をリセットし、新たな生を生きようと設定された場、それがアセンダントです。しかしそれも、過去の生があっての今回の生なのです。誰も、まっさらな無条件のままに生まれてはこないのです。

Karma とは、普通、悪い因果において使われる印象があります。しかしそうではありません。善なるものも悪なるものも、あらゆるものに原因があるということ、それらは途切れず、糸のように紡がれていくということ、それが Karma です。そしてその Karma の“傾向”が、第12ハウスの様子からうかがえるでしょう。なぜなら第12ハウスは、この世的な利害関係や生産性から浮き上がった余剰としての場、過去と今生を結ぶ Melting spot のような「境界域」だからです。魂を、紡ぐもの… 最後に残る、魂の領域、砦…

魂の砦… それはこの世でしっかりと生きていくには、「弱み」です。過去に属するが故に、成長しない領域… 時の止まった、本当に大切なもの…
第1ハウスや第10ハウスはとても強い場所だと言われます。しかし、自我や社会生活を超えた魂のことを考えると、 魂にとって本当に大切なのは第12ハウスの事柄です。そこでは第1ハウスや第10ハウスのような利害で物事を考え ることができず、駆け引きもできません。だから社会の中では、その場所は弱い。第12ハウスが強調されたネイタル・ チャートを持つ人物が、社会的な成功を飛び抜けて、本質的な魂や心の問題にどうしようもなく引き付けられていく様子は、良く見られることでしょう。しかし弱者であることと報われぬことは別です。負けてなお侵害されることのない強固な砦、侵害されえぬ魂の住処…。

生まれ来る誰も、完璧な生を終えたものはいない。それゆえ、何かを持ち越し、また生まれ出ずる。過去はなつかしく、そして、痛い…。けれど痛みは、大いなる「贈り物」です!その弱さと傷と魂ゆえに、私はあなたを愛するのです。

傷を持つ者は幸いである。
なぜならそれは、癒されることができる。
痛みを持つ者は幸いである。
なぜならそれは、飛翔への扉である。

過去は、カルマは、贈り物である。
なぜならそれは、何度も何度も、あなたに出会ってきたことの証し。

Karma の傾向は、また生まれ出てきた目的をそこに宿すものです。「弱さ」という形で表現されるその傾向は、それが大いなる目的であることを示す印なのです。贈り物を、受け取りましょう…。あなたが、確かに生きたという証を…。

第12ハウスの様子は、滞在サインから見ると、普通第1ハウスの様子と異なります。それ故普通、アセンダントカスプのサインの裏には、そのひとつ前のサインの影響が、過去生の傾向として隠されていることに なります。しかしこれは、サインの終わり近くの度数をアセンダントとして持つチャートには当てはまりません。このような場合むしろ、過去での傾向をかなり引きずった今生でのスタートとなるでしょう。これは、第12ハウスと第1ハウスにそれぞれ天体が滞在する場合に、その違いがより現れるでしょう。第1ハウスの天体はとても強い。けれども、本当に魂が大事に抱えているのは、第12ハウスの天体かもしれません。それは、過去から途絶えることなく持ち続けられて来た領域なのです。外の何物にも侵害されることのない、奥深くに守られたもの…。わたし、さえも忘れてしまいそうな、その微小なる存在…

[ 魂のカルマの傾向:簡易例 ]
Asc. in 射手座 2度
金星・木星・海王星 in 蠍座 in 12th house

アセンダントの射手座は、高度な精神性を目的にして今生でのスタートを設定しました。そして、人々との深く硬い絆を示す蠍座からの逃亡、「自由」を求めます。また、知性の面でも、対向にある双子座のような狭い範囲での個人的な関心ではなく、より広く、普遍的・本質的な、いつの時代も変わることのない真理を 求めます。アセンダントは「仮面」であるので、あらゆることを体験したいという人々の欲求を投影として受け入れ、多くの旅をし、多くを学び、そして多くの絆から自由になろうと羽ばたく生を、自らに設定します。「飛翔」へのやまれぬ憧憬。達成された瞬間に現れる、次なる上昇への欲求。初期度数にあることは、思考より先に行動への欲求が現れる射手座の性格が、さらに強く現れることを示しているでしょう。

しかし射手座のアセンダントの下には、蠍座の強い感情が存在します。蠍座の強い心情・情熱を下敷きに して、射手座の外への欲求が現れてくるのです。射手座は、その情熱をただ、外に向けるだけなのです。思想的・宗教的理想を求めて外へ向かう情熱を支えるのは、過去生で紡いだ「神秘」への没入の記憶です。 過去における人との強く深い絆・人への情熱はまた、それが今生へ持ち越されているが故に、極めて情熱的に、嫉妬深く執着心もあることを示します。激しい情熱と激怒、あらゆるものへの没入と、常に背中合わせなのです。そして今生では、内奥の記憶として自己の内に保存され、それらが自分自身に向かうこともあ るでしょう。

一方第12ハウスは、人々との心情的に深いつながり・絆を示す蠍座が滞在し、さらに第12ハウスには天体が3つも滞在しています。射手座の「飛翔欲求」の裏側に、非常に強い心情的なつながりへの欲求が隠されています。人間的な絆、善も悪ものみこんだ深い心情、それらを、過去生からカルマ的に持ち越してい るのです。それ故、射手座の飛翔欲求を持ちながら、常に心情的絆と、自己の深く重い心と共に歩まねば なりません。なぜなら、人間的な心情と、理想的ではないあまりに人間的な心の有様を完全に消化せず、 あるいはその夢を過去において成し遂げることなく、またはそれらの夢を繰り返そうと、なんらかの記憶・こだわりを持って、前回の生を終えているであろうからです。それが故に、善なる夢を示す木星や海王星が、 共に第12ハウスにあるのです。金星は愛の関係であり、木星は信仰であり、海王星は善なる夢です。深く 大きく、矛盾をも抱え込む理屈を超えた心情。厚い絆の記憶…。それらはそのまま、今生の生を得た目的でもあるのです。

この3つの天体は、すべて「拡大性質」の天体です。自己の内へではなく、他を求めて外へ広がる性質の天体です。拡大天体のすべてを第12ハウスに持つことはまた、自己にとって、過去が非常な「源泉」、エネ ルギーのあふれる「井戸」であることを示します。おそらくこの人物は、自己を大いに広げるエネルギーを得るのに、自己の外に求めることはないでしょう。どこまでも自己の内側へ、自己からも隠されている本当に深い自己の内奥、自己さえも越えて紡ぎ続けられる「存在のエッセンス」の内へ沈み、掘り起こす作業を成すでしょう。そこでつながるものは、もはや第1ハウスのように即座に認識しうる自我ではありえない。自己と他者が溶解し、時の隔たりさえも溶け、ここに居てそこにも居る。すべてなくしたと思う後にこそ発見しうる、本当にきらきらと、凝縮したエッセンスとしての存在… 見えない絆… 今、祝福されることを待つ、記憶…

金星も木星も海王星も、すべて「善なる夢」です。過去生に対して非常になじみやすく、ロマンティックな夢を持つでしょう。

ご自分のカルマの傾向を知りたい方は、
・第12ハウスの状態
・アセンダントと第1ハウスの状態
・それらから分かる、あなたが過去生から持ち越したカルマの傾向
・カルマから考える今生の目的
・あなたにとってのカルマ的な縁
を、メールにてお伝えします。

ご依頼は、こちらからどうぞ → hestia@astrologyhestia.com

「カルマ鑑定」と記し、生年月日、出生時間、出生場所(都道府県・市町村郡名)を添えてください。
鑑定内容は、メールにて送付します。実際の鑑定内容は、上記の簡易例の1~2倍の分量です。 \3,000 申し受けます。
相性(2人分)の鑑定の場合は、各々の人物の傾向に加え、他のポイントも考慮してカルマ的な関わりを鑑定します。¥6,000申し受けます。

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