写真の解釈の方法論について
■生命の樹
「生命の樹」は流出論であって、頂上のセフィラ「ケテル」から次々と下の各セフィラにその力が流出していく。流出の方向は、下の図の1~10の順番。
この流出の過程に、各セフィラは、右軸、中央軸、左軸のいづれかに位置する。各セフィラを天体にあてはめて考えるとき、この縦の3つの軸をもとに考えると分かりやすい。
位置 | 各セフィラ | 性質 |
---|---|---|
右 | コクマー、ケセド、ネツァク | 能動・拡大 |
中央 | ケテル、ティフェレト、イエソド、マルクト | 中和・統合 |
左 | ビナー、ゲプラー、ホド | 受動・収縮 |
の各セフィラが位置する。
これを横のラインで考えると、それぞれの意味から、
各セフィラ | 性質 |
---|---|
ケテル、コクマー、ビナー | 霊的世界 |
ケセド、ゲブラー、ティファレト | 心的世界 |
ネツァク、ホド、イエソド | 感覚世界 |
マルクト | 物質世界 |
と、4つの構成に分けて考えられる。
10天体の対応は、以下の通り。
■「生命の樹」から考える惑星の性質
画面の最下位は物質的な場、個人的な場、中央軸は性の極が未分化な場、あるいは統一された場だ。この月から、左側の軸と右側の軸に、そのエネルギーは分化していく。
左側の軸は自己の内部への集中、右側の軸は外の世界への拡散のエネルギーだ。月は、自己の集中のエネルギーである「水星」と、外の世界へ出て行きたい欲求である「金星」へと分化していく。
この水星と金星は、垂直方向に見れば、同じ位置(両側の一番下)にあって、個人的な活動の集中と拡散の、両極を表している。そして、集中と拡散の両極をなす水星と金星のエネルギーは、より高次なエネルギーとなるため統一され、画面の中央に位置する「太陽」のエネルギーに至る。
太陽は画面の左右上下のどちらにも偏らない、中心に位置する。 それは、社会的な自我、中心、エゴだ。しかしこの太陽のエネルギーは、社会的にはまだその発揮の仕方が十分発達させられていない。
太陽から、左側へ伸びる「火星」のエネルギーは、それゆえ太陽の自我のエネルギーを外に対し積極的、攻撃的に発揮するための力だ。それは外へむかってはいるが、基本的には、水星から発達した自己集中の力の外界への発揮であるため、左側に位置する。
それに対し、太陽から右側へ伸びる「木星」のエネルギーは、金星から発達したエネルギーであるため、社会的な場での寛容さとして働く。
火星と木星は、どちらも社会的な場での自己の集中と拡散の力だが、これらは統合されて、「土星」のエネルギーへとつながる。土星は、中央の軸に位置し、社会的な場での統合のエネルギーだ。それゆえ、土星は社会的な規範や壁を表す。“社会”という概念のもっとも頂点にある。
この社会の規範を超えていこうとするのが、土星から左側へ伸びる天王星と、右側へのびる海王星のエネルギーだ。
「天王星」、「海王星」、「冥王星」の一番上のラインは、精神性を表す。それは、社会的な意味の範疇を超えた普遍性へと向かうものだ。
「天王星」は、社会的な意味の優先ゆえに一度捨てられた個人の優位、という力を、精神的な面で発揮しようとする。それは火星のエネルギーの発達させられたもので、内的な集中力に発して土星の枠を超えていき、他と区別化する力だ。
一方、右側に位置する「海王星」は、木星のエネルギーの発達したもので、精神的な面で自己と外界との境をなくし、融合していく力だ。天王星が、はっきりとした個の意識に根差しているのに対し、海王星では個は集合的無意識の中に溶けていく。
「冥王星」は、この天王星と海王星のエネルギーを統合する、中央軸の最も上に位置する。精神性と普遍性において、またこの世界の構造において最も遠く、高いもの。宗教画などでは、この位置は、しばしば神の顕現する場所だ。
写真の解釈については、主に画面の9分割と、色の組合せで行った。
■画面の分割
画面の分割方法はいくつかあるが、基礎となるのは上下左右の4分割。これは、ユング派の絵画分析などにおいて使用される。また、浅利式の児童の絵画分析では9分割が使われる。
■4分割
イングリット・リーデル
青土社 1996年より
上のドルフ-テストでは、上下左右の位置の意味をもとに、それぞれの中間点の意味が導かれている。
イングリット・リーデル
青土社 1996年より
ユング派の分析家であるリーデルによる空間象徴では、上を4つのエレメントでの風と火、下を水と地に対応させている。
さらに、グリューンバルトによる空間方式も挙げるが、ミヒェル=リーデルの空間象徴と異なる部分として、「父」と「母」を象徴する部分だろう。
リーデルは、父を「高み」と、母を「深み」と関係付け、それぞれ左上、右下に置いているが、基本的にはこれは、左右の区別とみられる。つまり父を左側に、母を右側に置いている。
それに対し、グリューンヴァルトは、父を右側に、母を左側に置いている。
リーデルはこれに対し、「今日、批判的に検証されるべき、父母像についての伝統的な価値づけや考え方が反映している」と言っているが、これは占星術での IC と MC のどちらを父親、母親と置くか、という問題と基本的には同じことを言っているだろう。つまり、実際の母親が必ずしも過去や内向性(IC)に投影され、父親が未来や外向性(MC)に投影されているわけではない、とういうことだ。
このように、父と母の左右への投影は、常に可逆的に考えるべきだろう。
このように、上下左右を斜めにはしる4つの方向の意味は、先に挙げた10天体の位置との対応で考えると、必ずしもあてはまらないように感じるかもしれない。
これは、10天体の位置関係においてよりも、1つの天体についての1枚の写真について考察する時の助けとなりそうだ。上下左右の4方向の意味も、10天体との関連よりは、1枚の写真について有効となりそうだ。
■9分割(1枚の写真における9、あるいは10天体の位置)
9分割は、浅利式の画面分析によって使用されるが、これに天体を当てはめる時は、冥王星は使用しない。あるいは中央の軸に4つの天体を並べ、10天体を見てもよいだろう。
1枚の写真
天王星 | 土星 | 海王星 |
火星 | 太陽 | 木星 |
水星 | 月 | 金星 |
1枚の写真
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